似非科学と呼ばれる水素水のおかしい所を考えてみる

似非科学と呼ばれる水素水のおかしい所を考えてみる

先に断っておくが、ここで紹介する「似非科学と呼ばれる水素水」というのは研究室で正当に研究されている水素水ではなく、世間の間で似非科学と呼ばれている水素水についてである。

パッと見ておかしいとは分かるのだが、なぜおかしいのか、なぜ私たちの身の回りの環境、常温、常圧では存在しえない分子なのかを科学的に答えられるかと言えば私はちょっと自信がない。

今回はなぜおかしいのかを調べて自分なりに説明してみようと思う。

H10Oなどの酸素原子に3つ以上の水素原子が結合しているもの

水素水と聞いて思い浮かべるもので、最初に思い浮かべるものがこういった酸素原子にありえない数の水素原子がついている水分子(?)という方も多いのではないのだろうか?

こういった分子は私たちが普段水を飲む常温、常圧環境下ではまずありえない。

水分子というのは酸素分子に水素分子が2つ共有結合している分子というのは学校で習った内容である。

これにあと一つの水素原子が配位結合する場合がある。

H3O+と表されるものでヒドロニウムイオンとも呼ばれる。

水分子H2Oに水素イオン(H+)が配位結合するとできるイオンである。

実際にはさらに水和された H9O4+という状態で存在しているとされている。

こう書くとH9O4+があるならH10Oもあるんじゃないか?と思ってしまうかもしれないが、これは水素イオン(H+)の周りに4つの水分子(H2O)が集まっているというイメージとなるため、H(H2O)4+という感じに水和している(水の分子が付加している)ということである。

イメージとしては以下のような感じだろう
ヒドロニウムイオン

ただし、このような形に固定されているというわけではなく、それぞれの水分子の間に分子間力が作用しながら寄り合っていると考えた方が近いだろう。

水素イオン(H+)というのは水素原子から電子が一つ取れて正の電気に帯電している状態である。

ここで、水分子(H2O)というのは酸素分子が負の電気を帯びている極性分子であったので、上図のように水素イオンに水分子の中の酸素原子が引かれているという形になるのである。

さて、ヒドロニウムイオンについての説明はここまでで良いだろう。

では、H10Oなど酸素原子に水素原子が3個以上つき、かつ「+」がついていない分子はどのように存在しているのだろうか?

「+」がついていないなら陽子と電子が等価にあるということだが、そんな状態で結合なんかできるのだろうか?

ネット上で有名なゼロバランスフォーマットウォーター(ご存知ない方はゼロバランスフォーマットウォーターで画像検索してみると良いだろう)では酸素のL殻の6つの電子に6つの水素原子が結合しているが、(あと二つの電子は?どこかに飛んで行ったのか?電子一つで結合?)もしこんな分子があったとしたら陽子の数は14個、電子数8個(なのか?)なので(H6O)6+とでも書かなくてはならない(これでもかなりおかしい)

共有結合やイオン結合、配位結合など、安定した二原子間の結合には通常電子が二つ使われる。

電子一つで結合と言える結合は私は知らない。

もしこのような水分子(?)が存在するのだとしたらビックバン直後の数秒の間とか、超新星爆発が起こった時などだろう。

たまたまプラズマ状態で陽子と電子がランダムに飛び交っているそのような形になったという場合だ。

それも存在しているのは刹那の間である。

プラズマ状態というのはオーロラ現象に代表される固体・液体・気体に続く物質の第4の状態であり、人為的に作られるものとしては蛍光灯などの高電圧がかけられて作られている場合だ。

もちろん、私達が水を飲むときにはそのような状態には無い。

ましてや通常思い浮かべるペットボトルに入っている水がプラスマ状態にあるということは断じてない。

よってこのような酸素原子に水素原子がいくつもついているH10OやH6Oなどの水素水と称するものはおかしいと言える

ただし、ゼロバランスフォーマットウォーターの説明には「軌道想像図」と書かれているのでこうした議論も「想像です」の一言で水泡に帰してしまうのかもしれない。

悲しい。

ではそのような水素水とはどういったものだと言っているのか

H6Oのような極端なものでなくてもH4OやH3Oといった水素水もあるようで、検索すると出てきます。

そういった商品のページを見てみると説明欄にこのように書かれています

「H4Oとは不純物を取り除いた水に水素を溶かした水のことです。水素結合水H4Oの学術名称は「水素含有水」です。」

水素含有水とは要は気体の水素分子が水に溶け込んだ水の事です。

これまでにも検証してきた水素水と変わらない。

そういった水をH4Oと称しているのであり、決して化学式を表している訳ではない・・・とでもいいたげだ。

また、違う水素水の販売サイトでは以下のように書かれている

「ある環境下では(酸素原子は)理論的に14個の水素を持つことができます」

このページでは「ある環境下」とか「一定条件下」、「その状態の酸素1個は、実に水素14個を保有していると推定されます。」と言ってぼかしている。

その「ある環境」というのは先ほども言ったようにプラズマ状態にある陽子と電子が刹那の間たまたまそういった形を取ってそのことを言っているか、水分子に含まれる酸素原子の周囲半径1ナノメートル内に水分子中の水素原子が14個たまたまあったことを言っているのか…このあたりは業者がどのような環境なのかはっきりといっていないので何とも言えないが…

“保有している”というのも曖昧な言葉だ。

少なくとも酸素原子が水素原子14個と「結合している」ということはありえない。

「ある環境」を明確にして欲しいものだ。

ネット上で話題になっている水素水の正体

ネット上でやり玉に挙がっている水素水は「水素水」と称する商品の中でも飛び抜けて科学的におかしいものが多い。

それこそ、いつか業務命令が下るか、刑事事件になるようなマルチ商法に使われているものだったり、宗教がかったものだったりする。

それを薬機法的、景品表示法的に”まともに”商売しているところと一緒くたにして「水素水」は詐欺だ、インチキというのは少しかわいそうな気がする。

伊藤園の水素水のように世の中で合法的に販売されている水素水というのはただ水素が水に1.6ppm以下の割合で入っていると言っているだけなのだ。

繰り返しになるが、水素は国から添加物としては認められているのだ。

水素を添加した水、というのは何ら問題はない。

強いて言えば商品を説明しているページで健康や美容に良いかのようなイメージを”醸し出している”ところが人々の反感を買っているのだろう。

水素水を研究する人々にとっての真の”敵”

水素水について真剣に研究し、水素水を本気で代替医療として世の中に広めていこうとしている研究者にとっての真の”敵”というのは水素水を馬鹿にしたり、批判する人ではなく、明らかにおかしい”科学チック”な解説と共に水素水と称したものを紹介している団体なのだ。

これに関しては産経ニュースで唐木東大教授も言及していた。

そうした団体を糾弾することが水素水に対しての正しい認識を広める土壌作りになると私は思う。

ただ、研究されている方は明らかにおかしいことを言っている団体を批判し、糾弾するような暇はないだろう。

日々の研究や発表に追われてそんなことをしている時間が惜しいと判断するのが普通だろう。

それよりも早く健康なヒトに対する健康増進効果があるかどうかを確かめる臨床試験をして結果を出すのが先決かと思われる。

こうした一連の流れは歯がゆい問題だと思う。


色々ややこしい問題が多いからウォーターサーバーの方がいいか…

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