美顔器についての考察その2 振動数が高低で働きが変わってくる?

美顔器と振動数

美顔器の働きは振動数によって変わってくる!

美顔器についての考察その1 「美顔器とは?」で提起した問題、「美顔器周波数によりその働きが変わってくる?」について自分なりの解釈が出来たのでここで紹介する。

物理的な話がほとんどなのであまり興味が無いという方は美顔器は周波数によりその働きが変わっていく、という結論だけ抑えて次の記事を見ていただければよいだろう。

それでは私なりの解釈を紹介していく。

以前の記事で上げた波に関して振幅と振動数が関係しないという話はひもの運動などの単純な波に限る話のようだ。

水などの流体ではそういった高校で習う力学の話とは全く違い、「流体力学」という範囲で考えなければならない。

流体力学が対象とするモデルとしては海の波などがある。

例えば海の表面に浮かぶ水分子の動き(または海面のごく狭い部分)を考える時前後左右、上下からの影響を考えなければならない。

その影響を考えるときは速度ポテンシャルのラプラス方程式からはじまり、海底と海面の境界条件、ベルヌーイの式、微分方程式などを経て、実際の波の形というのは導出される。

その過程は理系の大学生1,2年生で学習する内容で美顔器について簡単に知りたいという方にとってはただ難しい内容となってしまうため、ここでは紹介しない。

もし、詳しく知りたい方はこちらの「環境の大学」というサイトの「海岸工学」の項目を一通り目を通していただければ理解していただけるかと思う。

さて、ここまで読んで今は肌の事を話しているのになぜ海や水の事を考える流体力学の話が出てくるのかと思った方もいらっしゃるかもしれない。

それはなぜかというと海や水の溜まったお風呂と同じく、肌も立派な流体と言えるからだ。

海や風呂と違う点は濃度や粘度が違うというだけだ。

それであれば流体力学の範囲で十分議論できる。

では、肌に高周波(もしくは超音波)を出力する美顔器を当てているときには肌にどのような波が出来るのか議論していこう。

流体力学において波のでき方や各点の動きを議論していく上で表面の波の波長とその流体の深さというのは重要になってくる。

海の場合であれば波の波長と海面から海底までの深さ、お風呂であればお風呂の水面に立つ波の波長とお風呂の水面から底までの深さだ。

肌の場合は密度や硬さが異なる骨までの距離を深さとしてみよう。

今回は美顔器について考えているので顔面の皮膚の厚さを考える。

ここでは角質+真皮+皮下組織の合計の厚さを5mmとしておこう。

まずは周波数の低い波を当てている時を考える。

周波数の低い波、つまり肌にできる1秒間あたりの波の数が少ないとき、波の速さが一定とすると波長は周波数の高い波に比べて必然的に長くなる。

これは前回でも考えた以下の式による

波の速度 = 周波数×波長 (1)

(上の関係式から分かるように波の速度が一定という条件があるのとき、周波数が低くなれば波長が長くなる)

肌の厚さ/波長 <= 1/2のとき波は浅海波、または長波と呼ばれる波の振る舞いをする。

この浅海波と呼ばれる波では波は長軸軸kH/2πh、短軸H(1+z/h)の楕円形の運動をする。
(kを波数、Hを波の振幅、hを肌の厚さ、zを肌の表面からの深さとする)

zの取りうる範囲は

0> z > -h

である。

この短軸を見ると波の振る舞いは深さzに比例していることが分かる。

肌の表面から骨までの波の伝わり方としては表面が一番強く、深くなるにつれて段々と弱くなるということだ。

つまり、肌の深い部分まで波は伝わるということになる。

では超音波などの高周波になった時はどうなるだろうか?

上の(1)の式より周波数が高くなると波長は短くなる

肌の厚さ/波長 >= 1/2のとき波は深海波と呼ばれる波の振る舞いをする。

この深海波と呼ばれる波では半径He^(kz)の円形の運動をする。
(Hを波の振幅、eはネイピア数(自然対数の低)、kは波数、zを肌の表面からの深さとする)

zの取りうる範囲は浅海波の時と同じである。

半径を見ると指数にzが入っている。

このため、zが-1,-2,-3…とマイナスの方向に値を増やしていくと指数関数的に半径は小さくなっていく、つまり肌の奥に届く波というのは指数関数的に減衰していくことが分かるのだ。

このため、高周波のときは肌の奥まで美顔器から与えられる振動というのは届きにくいといえる。

以上から美顔器が比較的低周波のときは肌の奥まで振動が伝えられるのに対し、高周波の時は振動は肌の表面のみにとどまり、奥までは届かないということが物理的に分かった。

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美顔器においてのキャビテーションについての考察

キャビテーションについての動画

美顔器のキャビテーション

美顔器の効果を調べていくと出てくるのが”キャビテーション”という言葉だ。

美顔器、または美容においてのキャビテーションというのは脂肪やセルライトを破壊する効果の事を指していたり、一時的に空洞を作って美容成分を肌に浸透させる効果などとして紹介される。

このキャビテーションとはそもそもどういった意味なのだろうか?また、どういったものなのか?まずはそこから調べてみよう。

美顔器とキャビテーション

キャビテーションとは?

もともとの意味としてはキャビテーションとは「液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象」というものだ。

水の中で起こる超音波振動を例にしよう。

イメージとしては↓のようなものだ。

上の動画の機器の下側接地面では水に対して垂直に上下運動しており、上方向に一瞬で引き抜かれると水は瞬間的に減圧され、水に溶けている気体の飽和蒸気圧を下回ることで気化したり、圧力が減ったことで沸点が下がり、水が沸騰して水蒸気になったりすることで小さな気泡が水中に生まれる。

そしてその次の瞬間、下方向に一瞬で押し出されると気泡は圧縮されて今度は飽和蒸気圧を下回り、または沸点が上がることで凝縮されて液体となり、気泡が小さくなり、数ミクロンにまでなってしまう。

この一連の流れをキャビテーションと呼ばれている。

そして脂肪を破壊すると言われているのは気泡が再び小さくする時に発生する衝撃波のような応力によるものと思われる。

この衝撃はというのは凄まじいもので、瞬間的に発生する圧力は数百気圧、数千気圧ともいわれている。

その破壊力は船のスクリューに穴が開いてしまう程である。

針でチクチクとやられるようなものだと考えていただければ近い。

このキャビテーションという現象は元々高速船舶を研究していた過程で発見されたもので、予想されたプロペラの性能が発揮されなかったことからその存在を知られたらしい。

そんなキャビテーションが肌の中で起こって平気なものなのか?

そこで疑問に思うのはそれほど大きな力が働くのであれば、それを肌で行うのは危険なのではないかということだ。

肌の中、脂肪が蓄えられている皮下組織で行われるならまだしも、真皮の中や角質で行われたのなら肌を傷つけてしまうことにならないのであろうか?

選択的に皮下組織の脂肪を狙って振動させるのあれば、まだわかるが、そんなことできるのであろうか?

定常波が出来る部分を調整すればできそうな気もするが、それには緻密な計算が必要なはずだ。

なぜなら皮下組織の位置、真皮・角質の厚さというのは人により異なっているからだ。

定常波とは波形が進行せずその場に止まって振動しているようにみえる波の事である。

定常波でなく、様々な場所にできる乱雑な(といっても規則性のある)波の場合には角質、真皮、皮下組織全てを振動させ、キャビテーションを起こさせることになり、ただ肌を傷つけるだけになってしまう。

さらに家庭で使うのであれば使用者の力加減一つで定常波の位置が変わってしまう(=真皮や皮脂にキャビテーションを起こしてしまい、細胞を傷つけることになる)ため、これが家庭用医療器具として、または雑貨として販売することを国から認可が下りるとは思えない。

しかし、現象美顔器は一般家庭で使われる家電として市民権を得ているようだ。

良く見てみると美顔器というのは週に何回と回数が定められていて多く顔に当てれば当てるほど、良いというものでもないようだ。

逆に美顔器を使いすぎるとキャビテーションによって脂肪が溶けて、顔のたるみの原因になるという記述も見られた。

何百、何千気圧という応力を考えれば、脂肪が溶けるというのは少々違和感があるが、それに近い状態になることは十分考えられることだ。

私が危惧している、皮膚へのダメージとはまさに上記の通りのものである。

つまり、使用方法についてよく注意して使わなければならないということだろう。

もともと医院の中で使われていたものだから用法に注意して使わなければならないのは当たり前と言えば当たり前だ。

だが、使用方法を間違って使ってしまう方もいるはずだ。

ということはそんな繊細なものではなく、また、使用方法を間違えたとしても重篤な症状になることはなく、(あっても肌のたるみ程度)さらにキャビテーションにより脂肪以外の皮膚内部を傷つける可能性も少ないということだろう。

そうであれば、スクリューなどで起こるキャビテーションと肌に行うキャビテーションには何らかの違いがあるか、美顔器より引き起こされるキャビテーションは何らかの方法で制御されているということだ。

その機序を考えてみる。

キャビテーションによって起こる衝撃波についてだが、スクリューなどに付着した微細な気泡の場合は気泡の形で歪であり、泡が元に戻ろうとする力が付着しているもの(この場合スクリュー)に対して働くので、それに対して破壊力を生むが、脂肪の中のように均等に泡が縮む場合は戻ろうとする力が四方八方の対になる方向同士で打ち消し合うことで破壊力が軽減される、ということだろうか。(脂肪が破壊される程度)

もし、皮膚のなかで起こるキャビテーションが強いものであればチクチクとした痛みがあるはずである。

しかし、美顔器を使用しているときにそうした痛みがあるという声は見かけない。

この辺り詳しく解説しているサイトが無いので何とも言えないが、以上の理論ならそれぞれについて説明がつくかと思う。

皮膚に関してもいえることだが、流体に高周波の振動を与えるときにはキャビテーション現象というのは外せないもののはずだ。

しかし、さまざまな美顔器の商品ページを見てみると高周波のヘルツ数についてを謳っている物や美容成分を肌に浸透させる旨を謳っているものは多かったが、キャビテーションという現象を解説しているものや、その効果について言及している物は少なかった。

キャビテーションを謳っている物もあったが、顔面の皮膚専用のキャビテーション機器という感じで、美顔器という括りにはあるのだが、少しずれているように感じた。

これには何か理由があるのだろうか?

確かにそもそもキャビテーションには破壊というイメージがつくため、言い方に気を付けなければならなくなる。

また、キャビテーションという言葉を出すと薬事法で制限されている文言に触れなければならなくなる場合もある。

企業がなぜ使わないのか、はっきりとした理由は分からないが現在思いつくものとしては上の物が挙げられる。

美顔器とキャビテーションというのは商業的には”微妙な”立ち位置にあるのかもしれない。

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