水素水についての考察その9 「肌からも入ってくるのか」

水素は肌から入るか

水素水は肌からも入ってくることができるのか?

水素水を飲んだ時に消化器官から水素分子が染み込んでいきそうであることは前回検証してみて分かった。

しかし水素が関わる商品としては水素風呂というものもある。

藤原紀香さんがオススメしていたことで、こちらも有名になった。

風呂に水素を溶かすということはから水素が取り込まれることが期待されるはずだ。

水素分子はその大きさから肌に取り込まれそうだが、慎重に検討してみようと思う。

肌(皮膚)ってそもそもどんな構造なのか?

水素が肌に染み込むのかどうかを確かめるためにはまず、皮膚がどのような構造になっているのかを確かめる必要がある。

肌は大まかに上から目で見て確認できる表皮、コラーゲン繊維と毛細血管等からなる真皮、脂肪が蓄えられている皮下組織となっている。

肌に浸み込むというのは水素分子が真皮まで届けば合格点だと思う。

なぜなら毛細血管が走っており、血管の壁を浸透することが出来れば毛細血管を通りさらに奥まで行き届くからだ。

まずは表皮から検証してみよう

水素分子と表皮

表皮もいくつかの層で出来ている。

角質層、淡明層(手の平と足の裏のみ)、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層である。

角質層

まさに表皮の一番外側、皮膚の表面には角質層と呼ばれる皮膚の層がある。

厚さは0.02ミリでサランラップ程しかない。

この角質層が様々なウィルスや細菌から体を守っている。

さらに体の中の水分が過剰に蒸発してしまわないようにしているという働きもある。

主に死んだケラチノサイト(角化細胞)と呼ばれる細胞で出来ており、水に溶けにくい親油性の物質で出来ている。

この角質層が物質を通すには3つの経路がある。

1:附属器官経路(毛穴や汗腺などの器官から)
2:細胞間隙経路(ケラチノサイト同士の間(「角質細胞間隙」と呼ばれる)から)
3:細胞内経路(ケラチノサイトから)

この3つ経路のいずれでも通過できる分子にはある条件がある。

1つは親油性であること

もう一つは分子量がある程度の量以下であること。

ある程度の量の分子というのは3つの経路で違っており、附属器官経路では分子量1000以下、細胞間隙経路、細胞内経路の場合は分子量500以下といわれている。

皮膚に塗布する薬など肌から物質が侵入する経路としては上の3つのいずれかになるというわけだ。

1の附属器官経路については角質層を無視して真皮まで届くので角質層で弾かれるような親油性の物質を肌の内部に届けたいときはこの経路が主となる。

水素分子も毛穴などから入れば真皮の部分へ一気にいけるということである。

しかし、毛穴や汗腺などの附属器官は見て分かるように肌で占める割合は少ない。

その割合は肌全体の0.1%程で、もし何らかの物質を塗布したとしても浸透する量の1%程しか寄与しないとされる。

もし、1.6ppmの割合で水素が入った水を塗布したとしても毛穴や汗腺から入る水素分子は0.016ppmしかないということだ。

これはもはや誤差の範囲と言える。

次に2の細胞間隙経路についてだが、ケラチノサイトの間、角質細胞間隙はセラミドやコレステロールなどの角質細胞間脂質と呼ばれるもので満たされている。

その構造はレンガ壁に見られるようなレンガとモルタルのようになっている。

この角質細胞間脂質というのは親油性の部分と親水性の部分が層のように重なり、縞のようになっている「ラメラ構造」と呼ばれる構造をしている。

水溶性の物質がこの角質細胞間隙を通るときは親水性の部分を近くを、親油性の物質が通るときは親油性の部分の近くを通って内部へと侵入していく。

水素分子のように親油性の性質を示すものは親油性の部分を主に通っていくということになるだろう。

親水性の部分は水に溶けていたときのように分子の間を潜り抜けていくと考えられる。

しかし、レンガの間を埋めるモルタルに沿うように移動するのでケラチノサイトを直接通るよりも皮膚内部に到達するまでの道のりが長く、時間がかかってしまう。

3の細胞内経路についてはケラチノサイト内部を通るというものである。

しかし、細胞内の構造には極性があり、このため、非極性分子の水素は中を通っていきにくいと考えられる。

いずれの経路についても水素分子の分子量の小ささ(2g/mol)であれば問題なく通る思われる。

顆粒層

角質層より下の層は角質層よりも親油性が低くなるため、角質層を通過で来た親油性の物質はここで浸透率が低くなる。

水素は親油性が高いため、角質層を通った水素分子はここである程度の数が顆粒層の前で止められると考えられる。

顆粒層は角質層のような死んだケラチノサイトになる前のアポトーシス(細胞死)中のケラチノサイトがある。

このため、細胞は核やミトコンドリアのような細胞小器官が退縮をし始めている状態だ。

と言っても顆粒層の細胞は角質層に比べて水溶性が高まる、即ち親油性が低くなるため、ここでも細胞内を通るよりは細胞間隙を通るルートの方が水素分子は通り抜け易いと推測できるだろう。

顆粒層ではケラトヒアリンという光を屈折させ、反射させる性質があるガラス質状の顆粒が存在し、紫外線などから肌を守っている。

さらに、顆粒層の上から二層目にはタイトジャンクション(密着結合)という細胞と細胞の隙間をなくし、物質の通過を制限している構造がある。

二つの細胞の細胞膜であるリン脂質二重層を膜内タンパク質を接着剤として繋とめているという構造だ。

これは体内の電解質やたんぱく質の漏出を防いでおり、かつ角質細胞間隙を満たしている物質がタイトジャンクション内側に逆流するのを防いでいると考えられている。

このタイトジャンクションでは水素分子はリン脂質二重層の親水性の部分に入り込んで親油性の部分を通り、また親水性の部分から飛び出るか、細胞同士をつないでいるたんぱく質の部分をすり抜けるしかない。

これに関しては水分子が抜けることが出来るので、それよりも小さい水分子なら可能であると思われる。

この他、細胞をつなぎ合わせる構造として、アドヘレンス・ジャンクション(接着結合)、デスモゾーム結合、ギャップ結合というものがある。

リン脂質二重層を通過せずに細胞間を通るとすると、このような構造を通過しなければならない。

アドヘレンス・ジャンクション、デスモゾーム結合に関してはカドヘリンという細胞同士を接着させる膜タンパク質が関与しており、どちらも水素分子程度ならある程度通過できると考えられる。

また、ギャップ結合をしている箇所では管状の膜貫通タンパク質が隣の細胞のものと結びついた構造をしており、隣同士の2つの細胞の細胞質は連続する。

水素分子がここを通過するとしたらこの管状の膜貫通タンパク質の間を通り抜けるか、膜貫通タンパク質を通過するしかないだろう。

管状の膜貫通タンパク質の間を通った方が透過率は良さそうだが、水素分子の大きさを考慮するといずれでも通過できると考えられる。

この顆粒層からリン脂質二重層の中や細胞膜を通過したりして水素分子は拡散されると思われる。

ちなみに顆粒層からミトコンドリアが存在し始める、つまり、水素分子が反応するとされる活性酸素が存在し始めるのでこの辺りから水素水に含まれている水素分子が減少し始める。

老朽化したミトコンドリアは若いミトコンドリアに比べて5倍の活性酸素を排出するという説もあるので、これが本当だとすると顆粒層にあるミトコンドリアからはそれよりも深い位置にある細胞のミトコンドリアよりも多く活性酸素を排出すると考えられる。

ただし、角質層に向けて死滅するミトコンドリアも多くなっていくため、全体としてはあまり変わらないかもしれない。

この辺りは論文や研究結果が無いので分からないが、角質層を抜けてきた水素分子はここで多く消費されると考えられる。

有棘層(ゆうきょくそう)

有棘層は細胞間橋と呼ばれる手のようなもので細胞同士が繋がっている層であり、8~10層で出来ている表皮の中ではもっとも厚い層だ。

角質層や顆粒層と違い、デスモソーム接着が細胞間で豊富に分布しているので、水素分子は角質層や顆粒層よりは通過しにくいと考えられる。

また、角質層や顆粒層のケラチノサイトは扁平だったが、有棘層からは細胞は大きく広がってくる。

このため、細胞質基質の中のミトコンドリアも広く分布するため、細胞に入った水素分子がその中で反応し、水になることも多いと思われる。

基底層

表皮の中で最も下層にあるのが基底層である。

基底層は基底細胞が1層のみで出来ておりケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞が隙間なく並んでいる。

皮膚細胞のターンオーバーはこの基底細胞が有糸分裂することから始まる。

細胞同士はケラチン繊維で接着され、密着している形となっている。

このため、この基底層を水素分子が通り過ぎる時にはほとんどがリン脂質二重層を抜けて基底細胞の中を通ると考えられる。

基底膜

基底膜は基底層の細胞を支え、表皮と真皮をつなぐ接着剤の役割もしているいわば表皮から真皮へと向かう最終関門だ。

この基底膜はさらに透明帯(透明帯)、基底版(緻密版)、網状版(繊維細網版)と呼ばれる3つの層から構成されている。

この層は主にコラーゲンやラミニンと呼ばれる巨大なタンパク質からできてる。

表皮と真皮をつなぐ基底膜は分子量が800以上の大きな分子量を持つものを通さないという性質があり、これの性質が真皮を守る働きをしている。

しかし、真皮と表皮の栄養のやりとりをしなければならないため、分子量が800以下であれば浸透していく。

ここでも水素分子はその分子量の小ささから浸透していくと考えられる。

血管

これで表皮のすべての構造はクリアした。

ここまで生き残った水素分子が真皮にある毛細血管から取り込まれれば血管から他の全身に回るという可能性が見えてくる。

血管の壁は表皮や真皮とは違い、通れる分子量がかなり制限される。

一般的に100以下の分子量のものしか血管の壁は通ることができないようだ。

水素分子の場合はもちろんその分子量の小ささから通過することが出来る。

よって水素分子は血管を通って体の各所に行き渡ることが分かった。

実際水素分子は真皮の毛細血管まで到達するのか?

ここまで推測で話を進めてきたが、実際には水素分子は真皮まで到達するのだろうか?

仮に水素分子が活性酸素としか反応しないとすると、水素分子は顆粒層、有棘層、基底層の細胞にある活性酸素と反応せずにそこまで到達しなくてはならない。(角質層の細胞はミトコンドリアなどの附属器官が無くなっているため、新たな活性酸素は発生しないと思われる)

水素分子が顆粒層、有棘層、基底層のすべての細胞の中を通ったとすると、合計8~14層の細胞を抜けてこなくてはならないということになる。

wikipediaには活性酸素は一日に細胞あたり約10億個発生すると書かれている。

1秒間に直すと約12000個ということになる。

ある程度は酵素で還元されるとはいえ、細胞内での活性酸素の密度はかなりのものになると推測される。

それを8~14層ということなので層の数だけ倍になるということだ。

しかも、これは細胞の厚さ、いわばタテの部分を計っただけで、実際には肌の表面にある皮膚細胞分をさらにかけなければならない

皮膚細胞の個数はヒトによってばらつきがあるが、細胞の大きさが0.0001㎟とすると日本人の男性平均身長、体重と照らし合わせると体表面はおよそ1.7㎡であるから、体表面の細胞の個数はおよそ170億個あるということになる。

つまり、体表面から真皮までの細胞で出来る活性酸素の個数は1秒当たり

170億×12000×11 ~ 2200兆個

ということだ。

一方、水素分子が水に溶ける量の最大が1.6ppmということを考えると、お風呂に入る量が200リットルとすると水素分子の数は以前1リットル当たり約5000京個入っているという計算だったので200リットルで約100垓個入っているという計算になる。

こうしてみると意外にいけるのかもしれない。

この数だけ見ると水素分子の方が優勢のように思えるが、もちろん全てが体に入っていくわけではなく、大半は風呂の水面から出ていってしまうため、その数はより少なくなるだろう。

それでも桁違いな量だ。

風呂に水素発生器を設置して常に水素を供給するようにすれば案外皮膚からの吸収も悪くないのかもしれない。

そのうちいくつの水素分子が肌に入って真皮まで行くのかは実際に実験、検証してみなければわからないが…

水素分子は活性酸素としか反応しないのか?

水素分子が皮膚を通過して、毛細血管まで到達する可能性があることは分かった。

しかし、上記の考察は水素分子が活性酸素としか反応せず、かつ水素分子が豊富に体の中へ入ってきている環境での話だ。

水素分子は活性酸素と反応するのか、反応するとしたら他の物質とは反応しないのか、この辺りを次に調べてみようと思う。

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濃度1.6ppmの水素発生量のお風呂用充電式水素発生器というものがある。少し高いが…

パウダータイプの水素風呂というのもあった。入浴剤だ。

美顔器についての考察その2 振動数が高低で働きが変わってくる?

美顔器と振動数

美顔器の働きは振動数によって変わってくる!

美顔器についての考察その1 「美顔器とは?」で提起した問題、「美顔器周波数によりその働きが変わってくる?」について自分なりの解釈が出来たのでここで紹介する。

物理的な話がほとんどなのであまり興味が無いという方は美顔器は周波数によりその働きが変わっていく、という結論だけ抑えて次の記事を見ていただければよいだろう。

それでは私なりの解釈を紹介していく。

以前の記事で上げた波に関して振幅と振動数が関係しないという話はひもの運動などの単純な波に限る話のようだ。

水などの流体ではそういった高校で習う力学の話とは全く違い、「流体力学」という範囲で考えなければならない。

流体力学が対象とするモデルとしては海の波などがある。

例えば海の表面に浮かぶ水分子の動き(または海面のごく狭い部分)を考える時前後左右、上下からの影響を考えなければならない。

その影響を考えるときは速度ポテンシャルのラプラス方程式からはじまり、海底と海面の境界条件、ベルヌーイの式、微分方程式などを経て、実際の波の形というのは導出される。

その過程は理系の大学生1,2年生で学習する内容で美顔器について簡単に知りたいという方にとってはただ難しい内容となってしまうため、ここでは紹介しない。

もし、詳しく知りたい方はこちらの「環境の大学」というサイトの「海岸工学」の項目を一通り目を通していただければ理解していただけるかと思う。

さて、ここまで読んで今は肌の事を話しているのになぜ海や水の事を考える流体力学の話が出てくるのかと思った方もいらっしゃるかもしれない。

それはなぜかというと海や水の溜まったお風呂と同じく、肌も立派な流体と言えるからだ。

海や風呂と違う点は濃度や粘度が違うというだけだ。

それであれば流体力学の範囲で十分議論できる。

では、肌に高周波(もしくは超音波)を出力する美顔器を当てているときには肌にどのような波が出来るのか議論していこう。

流体力学において波のでき方や各点の動きを議論していく上で表面の波の波長とその流体の深さというのは重要になってくる。

海の場合であれば波の波長と海面から海底までの深さ、お風呂であればお風呂の水面に立つ波の波長とお風呂の水面から底までの深さだ。

肌の場合は密度や硬さが異なる骨までの距離を深さとしてみよう。

今回は美顔器について考えているので顔面の皮膚の厚さを考える。

ここでは角質+真皮+皮下組織の合計の厚さを5mmとしておこう。

まずは周波数の低い波を当てている時を考える。

周波数の低い波、つまり肌にできる1秒間あたりの波の数が少ないとき、波の速さが一定とすると波長は周波数の高い波に比べて必然的に長くなる。

これは前回でも考えた以下の式による

波の速度 = 周波数×波長 (1)

(上の関係式から分かるように波の速度が一定という条件があるのとき、周波数が低くなれば波長が長くなる)

肌の厚さ/波長 <= 1/2のとき波は浅海波、または長波と呼ばれる波の振る舞いをする。

この浅海波と呼ばれる波では波は長軸軸kH/2πh、短軸H(1+z/h)の楕円形の運動をする。
(kを波数、Hを波の振幅、hを肌の厚さ、zを肌の表面からの深さとする)

zの取りうる範囲は

0> z > -h

である。

この短軸を見ると波の振る舞いは深さzに比例していることが分かる。

肌の表面から骨までの波の伝わり方としては表面が一番強く、深くなるにつれて段々と弱くなるということだ。

つまり、肌の深い部分まで波は伝わるということになる。

では超音波などの高周波になった時はどうなるだろうか?

上の(1)の式より周波数が高くなると波長は短くなる

肌の厚さ/波長 >= 1/2のとき波は深海波と呼ばれる波の振る舞いをする。

この深海波と呼ばれる波では半径He^(kz)の円形の運動をする。
(Hを波の振幅、eはネイピア数(自然対数の低)、kは波数、zを肌の表面からの深さとする)

zの取りうる範囲は浅海波の時と同じである。

半径を見ると指数にzが入っている。

このため、zが-1,-2,-3…とマイナスの方向に値を増やしていくと指数関数的に半径は小さくなっていく、つまり肌の奥に届く波というのは指数関数的に減衰していくことが分かるのだ。

このため、高周波のときは肌の奥まで美顔器から与えられる振動というのは届きにくいといえる。

以上から美顔器が比較的低周波のときは肌の奥まで振動が伝えられるのに対し、高周波の時は振動は肌の表面のみにとどまり、奥までは届かないということが物理的に分かった。

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